記事の詳細

  今年も早12月。何もせぬまま、1年が終わってしまう。

ホームページの管理者からブログの更新を再三迫られていたにもかかわらず、無精をしていた。反省を込めて適当な題材を探していたところ、日本耳鼻咽喉・頭頚部外科学会神奈川県地方部会への投稿文を見つけ出した。

     「半年遅れの報告になりますが、よろしかったらお読みください。」

香港の今(は昔?)
 中国のコロナ政策緩和で出入国時のPCR検査が不要になり、十数年香港に駐在していた旧友からの誘いもありGWを利用して出かけることにした。 

 ご存知のように、香港では2014年、2017年、2019年と民主化運動が勃発した。1997年にイギリスから返還される際に中国が50年間は一国二制度で香港の自治を認めると約束していたにもかかわらず、少しずつ民主化組織やリーダー達を締め付けていき、中国化を推し進めてきたのである。特に直近の2019年の際には若きリーダー達が世界各国へ向けて不当であることを訴えていた。周庭氏という日本語も話せる聡明な女性リーダーは印象的だった。あのデモの民衆で埋め尽くされていた通りや警察とのもみ合いで破壊されていた商店は今や中国本土からの観光客で溢れかえり、ブランド品を買い漁る人々の熱気で酔いそうだった。行き交う人が増えたせいか、2023年1~2月の窃盗の件数が前年比37%増で、スリに注意するように日本国総領事館からお触れが出たほど。異例な対応であるという。コロナの影響か景気は良くないに違いない。そんな中で香港入りした。 

30数年前にトランジットで立寄った香港は高層ビル群の中へ突っ込むように飛行機が着陸したが、現在の空港は別のところにある。空港からは地下鉄で市街へ移動するが、地下鉄は香港全域を網羅していて使いこなせると便利である。しかし、移動のためのエスカレーターの速度が速く、うかうかしていると怪我をしそうだ。老人向きではない。 

初日は、香港に駐在して数十年というMさんという女性も加わり、西貢(サイクン)という海辺の町で海鮮料理を頂くことになった。サイクンはユネスコ認定世界ジオパークなど公園が多く、緑地が自然保護区として指定されており、乱開発から逃れている所で気持ちのいい所だった。公園には何と数頭の牛がいた!放し飼いで公園の植栽をもりもり食べている!いいのかいな?と思いながらカルチャーショックで唖然。 

海鮮料理は生け簀にホヤ、イセエビ、ウツボなど各種鮮魚・貝類が並んでおり、客の指定するものをその場で料理してふるまってくれる。広東語の話せるMさんがいなければとても注文できそうもない混沌の中、料理が運ばれて来るがその前に熱湯が用意され、皿や湯呑、箸など熱湯消毒しろという⁈腹を壊しても知らないよ、というのである。ここでもカルチャーショック。 

さらに、室内の空調が利きすぎて日本人には寒すぎる。この香港人との体感温度の違いはその後も各レストランで味わうことになる。カーディガンが必須アイテムである。 

 翌日はマカオへ。どこかのティッシュペーパーの会社の社長が依存症に陥ったようだが、確かにカジノは魅力的なところであった。バカラというゲームを楽しんだが、ちょっと勝つと気分はいいし、止められない。ギャンブル恐るべし! 

香港に戻って、北京料理をいただき、九龍(クーロン)からフェリーに乗って夜景を楽しんだ。香港の夜景は世界三大夜景の一つで見事なものであったが、駐在歴のある旧友は、「当時はこんなものではなかった」と嘆いている。大型ショッピングモールでもシャッターが閉じて出店されていないブースもみられた。日本も経済力が低迷するにつれ、日本企業の撤退が相次ぎ、日本の百貨店は「そごう」のみ残っているが、資本は中国のようだ。もしかしたら世界の中での香港の立ち位置も変わってきたのか?中国化で香港の存在意義そのものが薄れているのかもしれない。 

翌日は赤柱(スタンレー)の遊歩道でハイキング。この地域はイギリスの植民地時代を想起させる高級住宅街で欧米人の拠点であったとか。およそ街中とは違いゆったりしている。ホテルに帰るのに2階建てバスに乗り最前列を占拠。夜は香港競馬を観るためにハッピーバレー競馬場へ。その際「トラム」という2階建て路面電車で移動した。バスも電車も2階建てである。競馬はVIPエリアに通されたがランクが下の方だったのか、ゴール付近とはいえ角度がありゴールが見渡せない。馬の名前もわからない。唯一「有勢有勝」という馬に掛けた時に当たった!名前が良かったのかな。 

翌日は帰国する日。午前中にビクトリアピークに上り、香港を一望に見渡した。ここからの夜景は「東洋の真珠」と呼ばれ、映画「慕情」の舞台になったところである。もっともこの話はどのガイドブックにも載っていないようで、ある年齢以上の方にしか伝わらないかもしれない。ホテルをチェックアウトして点心を食べようとタクシーで有名店に向かったが、何とホスト役の旧友がタクシーの中に現金とパスポートの入ったポシェットを忘れてしまったのだ!再三パスポート失くすなと連呼していた彼が、自ら失くしてしまったので落ち込みが激しかった。警察に届けるべく署内に入るも、何と英語が通じない!かつてのイギリス領の香港警察で英語が通じないという事実。受け止め難かった。困っていたら「日本語少しわかります」という若者が助けてくれて、遺失物係に届けを出せた。その書類をもって総領事館でパスポートの申請をすることになる。しかしパスポートの再発行はその日には無理で、彼を残して帰国することになった。タクシー内での忘れ物も日本だったら出てくるのに。つくづく「日本は平和な国だな」と思わざるを得ない。香港に限らず海外旅行から帰るたびにこの思いを新たにする。

香港の今、感じていただけただろうか。

                       

関連記事


受付時間

 耳鼻咽喉科・めまい外来

8:30    
~12:00


14:30    
~18:00



※めまい外来は水曜日の午後のみ

 内科・呼吸器内科

8:30    
~12:00
休診
14:30    
~18:00
休診休診休診

モバイルサイト

よしむら耳鼻咽喉科・内科・呼吸器内科のモバイルサイトのQRコード

[URL]
 http://www.keishin-kai.com

リンク

ページ上部へ戻る