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 最近秋が短いと感じている方は多いのではないでしょうか。

平均気温で四季を分けると秋は9~11月のはずが、ここ数年では1か月しかないというではありませんか。芸術・文化の秋、実りの秋、食欲の秋。何をするにも心地の良いこの期間を無駄にはできません。そこで、10月の1か月間芸術の秋を満喫すべく、さまざまな秋に触れてきました。

 まず、日本の伝統芸能である歌舞伎。映画「国宝」のヒットのおかげで歌舞伎鑑賞券の入手がなかなか困難である中、知人を介して「仮名手本忠臣蔵 二段目・九段目」のチケットが手に入り、観に行ってきました。

「忠臣蔵」と聞くと例の赤穂浪士の討ち入りを想像しますが、NHK大河ドラマ「べらぼう」でも紹介されていますように、当時はご政道(幕府の政治)を批判することはご法度とのことで、人々は皮肉を込めて名前や設定をかえて歌舞伎の演目に仕立てて上演していたようです。1703年元禄16年2月4日に赤穂浪士たちは討ち入りを成功させた後、切腹しましたが、その12日後には江戸中村座では「曙曽我夜討」と題して人・時代設定を変えて上演されたそうです。その後に伝わっている仮名手本忠臣蔵も、時代設定は南北朝時代。主人公も大石内蔵助ならぬ大星由良之助と名前を変えています。様々な理不尽な統制の中、黙っていられない江戸の庶民の逞しさを感じさせますね。

今回の「仮名手本忠臣蔵」でも、人間国宝の中村梅玉さんはじめ中村扇雀さん、中村雁治郎さんなど素晴らしい役者さんたちの演技を見ることができました。終盤は次第に盛り上がり、見ている方も固唾をのんで集中しています。きっとこの役者さんとの一体感が江戸庶民にはたまらなかったのだろうなと思いを馳せて、伝統芸能の良さを少しながら感じたところでした。

 次の週、今度は「葉加瀬太郎」のバイオリンコンサートを聴きに行きました。生協のチケット販売の抽選に当たり幸運を手にできました。葉加瀬さんのバンドはバイオリンの葉加瀬さんの他、チェロ、ピアノ、シンセサイザー、ギター、ベース、ドラムス、パーカッションとそれぞれの担当の方がソロで活躍されるほどのメンバーがそろい、平均年齢60歳という熟練のバンドでした。MCがとても楽しく、客席を巻き込んでの出し物もあり、最後はバブルの頃の「マハラジャ」を彷彿とさせる「はか扇子」を振り回しながら「情熱大陸」で盛り上がるという嗜好でした。もちろん私も総立ちで、盛り上がりました。

前の週の歌舞伎とは異なるものの、客席と一体となるというところは方法が違っても舞台芸能には欠かせない要素なのかもしれません。

 さらに次の週、今度はオペラです。ウィーン国立歌劇場のオペラを奮発して観にいきました。ウィーン国立歌劇場の日本公演は1980年以降数年ごとに行われ、今回はコロナの影響で2016年以来の公演となります。雨天の足元が悪い中、チケット完売の満員御礼の札が下がっていました。オペラの良いところはもちろん素晴らしい声量の歌声もさることながら、一緒にオーケストラの演奏も聴けるというところです。ウィーン国立歌劇場のオーケストラ、ウィーン国立歌劇場管弦楽団は自主運営のウィーンフィルハーモニー管弦楽団と共生関係にあり、団員は両方に所属しています。ザルツブルク音楽祭のオペラや交響楽の活動はウィーンフィルハーモニー管弦楽団として演奏しているとのことです。男性の観客が歌舞伎や葉加瀬さんのコンサートに比べてやや多いように感じました。知り合いに何人か遭遇したりします。そういえば当院でめまい外来を担当してくれた亡き室伏先生もオペラが大好きだったなあ、と思いを致したところでした。一流のオペラとオーケストラの演奏を堪能しました。

 さらにさらに、その翌週は10月最後の週末。関西へ出かけていきました。目的は2つ。前回5月に京都伏見の小料理屋さん「しん谷」で、連れの妹が自分の銀歯が料理の中に抜け落ちたのに「異物混入」と騒いでしまったことに対するお詫びと、その時に行きそびれた「なんばグランド花月」でお笑いを見ることでした。ついでに東海道57次の残りをできる限り歩こうということも忘れずに。

まず、料理屋「しん谷」で昼食を取るべく伏見へ。大将も5月の一件を覚えていてお詫びに持参した横浜土産を快く受け取ってくださいました。「ところで女将さんは?」と伺うと、「・・亡くなりました」と・・!まだお若いのに幼い娘さんを残して闘病の末鬼籍に入られたとのこと。大将も心なしかお疲れの様子でした。苦しい時には仕事が支えてくれるとおっしゃっていました。仕事をしていると一瞬でもわすれることができるのでしょう。私にも経験があります。

そんな話を伺って少し気持ちが沈みましたが大将を激励して店を出てきて、次に向かったのが、春と同様に徒歩で東海道57次を歩き切ることを目指しました。東海道57次の続きで中書島というところから行けるとことまで行こうということになりましたが、少し暑かったのと、しん谷の女将さんのことが頭から離れず無言で歩きました。

石清水八幡宮の手前あたりで雨が降ってきて,参拝は明日にして大阪のホテルへ電車で移動しました。ホテルの周辺は「なんば」と呼ばれる歓楽街でその規模たるや壮大で、おそらく東京にも見当たらないくらいの大きさでしょう。そしてどのお店も多くの人々が集い、活気とエネルギーに満ちていました。京都で意気消沈していましたが、いっぺんに元気が出てきました。その勢いで「なんばグランド花月」へ。上方の漫才を数本堪能したあと「吉本新喜劇」の出し物です。座長は「すち子さん」で土曜日お昼NHKの「探検ファクトリー」という番組に出ていますが、女装した男性の方です。すち子さん、つかみにエプロンからたくさんの飴ちゃんを取り出し客席に撒き始めました。そのうちの一つが何と目の前に飛んできたではありませんか!思わずゲットしました。うれしかったですね。飴ちゃんはすち子さんのお写真入りの特製のものでした。ここまで結構笑わせてもらっていましたが、新喜劇は破格に面白く、笑いすぎて脇腹がつりました。妹は背中がつっていました。笑うことにも衰えを感じてしまいます。しかし、出演者自身も笑いがこらえきれず、途中で進行が止まってしまうこともありました。ツボにハマってしまったようでした。まさしくこれぞ舞台芸能でしょうね。会場全体が一体となり笑いの渦にハマってしまったということです。おかげで上演時間が15分もオーバーしてしまうほどでした。「あ~、面白かった」と心の底から笑える時間を過ごしました。

翌日は石清水まで電車で戻り、57次の続きを歩きました。石清水八幡宮は平安京の守護神として今に続く伊勢神宮に次ぐ国家第二の宗廟という格式の高さと、国宝の八幡造の社殿が神社建築上意義のあるものだという由緒正しい神社でした。京都の街を一望できる高台で大阪名物551の肉まんを頬張り静謐?な気持ちで次の目的地、京都競馬場を目指しました。今回の京都競馬場では当日菊花賞レースが組まれていました。春に通りかかったときに天皇賞レースを飛び入りで見物し、今回は指定席が取れれば寄ろうなどと考えていたところ、運よく指定席が当たってしまいました。おかげで雨を避けて観戦できました。指定席での観覧は実に快適でお勧めです。とはいうものの抽選はなかなかの倍率だったとか。本当にラッキーです。菊花賞レースは・・またしても馬の良しあしなどわからないので、名前で選びました。「エリキング」「ショウヘイ」などグッとくる名前もあり、その中で「エリ・キング」を選びました。私の名前が恵理子であることに因みましたところ、何と2着に入ってくれました!

運に恵まれた10月の1か月。歌舞伎、バイオリンコンサート、オペラ、お笑いとジャンルの異なる芸能4種を堪能しました。何に心を惹かれたのか?・・・全てですね。従いまして、今後も雑食のごとく人間の作り出した創作、舞台に限らず絵画、芸術、演劇、建築、映画、音楽、能に浄瑠璃、料理、アニメなどあらゆるものに触れていこうと思っています。我々(還暦過ぎて)には時間がない!のです。人間を楽しみたいと思います!

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